この子の名前子のつく名前

12月3日、明治安田生命保険が例年恒例の、今年生まれた赤ちゃんの名前ランキングを発表した。調査は、今年10月末までに同社と契約した被保険者を対象に実施した。男児は4078人、女児は3805人の名前を集計した。

注目したいのは、女児2位にランクインした名前「莉子」だ。朝日新聞魚拓)(12月5日確認)によれば、「子」のつく名前は1983年以来27年ぶりにトップ3に入った。読売新聞(12月5日確認)は、文字別では「子」は昨年17位から14位に上昇したと報じている。

なお朝日が「莉子」は「2009年に放送されたドラマのヒロインの名前」というので、調べてみると、フジテレビ系で09年7月から9月にかけて放映された「ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜」において北川景子(24歳)が白河莉子を演じていた。

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シアトリカルな自殺演出の心性

池袋で友人たちとワインを飲みながら食事をした。わたしたちが訪れたレストランのハンバーグがおいしかったこともあり、わたしも滅多に飲まない赤ワインを数杯飲んでしまい、ほろ酔い気分で店を出て、いい気分で東口五差路のロッテリアで23時の閉店間際までお茶しながら談笑していた。

店を出ると、東口五差路、とりわけ歩行者天国サンシャイン60通りは黒山の人だかりになっていた。都心中の都心、年中四六時中人の多い場所だが、人の動きが澱んで一箇所に固まっているのは、初めて見た。そして人の目線は空中の一点で交差し、多くの人が携帯電話を掲げていた。

友人の一人がわたしに言う。「自殺だ。」

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出自と母語との非対称性

ロシアのテニス選手マリア・シャラポワMaria Sharapova)が、婚約したそうだ――7歳からアメリカに住んでいて、達者な英語を話す彼女に「ロシアの」という形容詞をつけるのに非常に違和感があるのは、わたしだけであろうか。アメリカ人シャラーポヴァではなく、ロシア人シャラポワの婚約相手は、アメリカ生まれの人間ではなく、スロベニア生まれのバスケットボール選手サーシャ・ブヤチッチ(Sasha Vujačić)だった。

1984年3月にスロベニア民共和国(当時)で生まれたブヤチッチは、同国がユーゴスラビア社会主義連邦共和国を離脱する1991年まで、社会主義を経験していたはずである。彼の母語は恐らくスロベニア語だと思われるが、連邦に加盟していた時代には同国ではセルビアクロアチア語が学校で教えられていたそうなので、彼はその言語もある程度までは理解できるかもしれない。連邦から独立したあとの同国では、第二言語として英語が教えられているというから、セルビアクロアチア語よりは英語のほうにすでに慣れていたかもしれない。

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政治の言語

10月4日にベルギーのブリュッセルでアジア欧州会議(ASEM)が開催された。その会場の廊下で急遽、菅首相と中国のウェン・チアパオ(温家宝)首相との日中首脳会談が25分間に亘って行われた。

この会談は廊下にたまたま置いてあった椅子に腰掛けて行われたというが、このような「首脳会談」は素人目にも異例なように映る。それ以上に異例であるように思われるのは、この会談において菅氏は中国語の通訳を伴っていなかったことである。各種報道によれば、日本側の通訳が菅氏の発言を英語に訳し、それを中国側通訳が中国語に訳してウェン氏に伝えた。そしてウェン氏の発言は、中国側通訳が日本語に訳して菅氏に伝えたという*1。つまり、日本側には英語のわかる通訳しかいなかったのにたいし、中国側には人数は不明だが英語通訳と日本語通訳が帯同していたということになる。

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京成金町線、線内折り返し路線に

またしても、自分の過去の発言を振り返るならば、2005年8月に京成金町線について述べていた。そこでは金町線の北上延伸について言及しているが、今から考えればお伽話のような妄想をしていたものである。

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半蔵門線論、再び

半蔵門線――渋谷から、表参道、永田町、九段下、大手町を経て、水天宮前、清澄白河錦糸町、押上へと至る地下鉄路線である。水天宮前が終点だった時期が長らく続き(1990〜2003年)、半蔵門線の延伸によって押上が終点となるのは、押上が東京スカイツリーの建設によって東京の新名所となる7年前、わたしが東京に移り住む僅か1か月前の2003年3月のことであった。

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菅新内閣に関する覚え書き

●「貴族しか総理大臣になれない。その点市長は市民から直接選ばれる。」名古屋市長選挙に出馬する際、当時衆院議員だった河村たかし氏がこのような旨を語ったのを、わたしは印象深く記憶している。だが国会議員の家系出身ではない*1という意味で「貴族」ではない菅直人氏が首相に就任したいま、河村氏は何を思うであろうか。

●菅新内閣には、珍しく「高卒」で入閣した議員がいる。誰か。仙谷官房長官である。とはいっても、高卒の叩き上げ議員どころか、むしろその真逆である。彼は東大法学部在学中に司法試験に合格してしまったので、大学を卒業する必要がなくなってしまったのであろう。その意味で仙谷氏は東大中退の「高卒」だが、むしろ超エリートである。ついでに言えば、大学を出ていない国務大臣経験者といえば、わたしは田中角栄くらいしか思いつかない(田中は大学に入ってもいない)。

産経新聞によれば*2菅内閣の閣僚を出身大学ごとに分けると、東大が6人5人で最も多く(原口総務相、小沢環境相=埼玉大院修了、岡田外務相、仙石官房長官=中退、亀井金融・郵政相、荒井国家戦略相)、次いで早大の3人(北沢防衛相、野田財務相、山田農林水産相)、京大の2人(前原国交相、川端文科相=京大院修了)、慶大の2人(中井国家公安委員長長妻厚労相)と続く。東工大菅首相)、中大(千葉法務相)、上智大(玄葉公務員制度相)、神戸大(直嶋経産相)、青山学院大蓮舫行政刷新相)は1人。(10年6月14日追記)亀井氏の辞任により、東大出身の閣僚は5人となったが、最も多いことに変わりはない。後任の自見庄三郎氏は九州大医学部卒で、医師でもある。

民主党の新役員のうち、重役の出身大学を見てみると、東北大(枝野幹事長)、大阪大(樽床国対委員長)、京大(細野幹事長代理)と、早大(安住国対委員長)と、上に挙げた党政調会長も兼務する玄葉氏を含めても、国立大学、しかも地方の国立大出身者が意外に多い。

●同じく上掲の産経新聞によれば、菅内閣衆院出身閣僚の当選回数別に見ると、当選6回(前原、小沢、仙石、玄葉の各氏)と5回(原口、野田、荒井、山田の各氏)がそれぞれ4人で一番多い。また枝野氏は6回、樽床氏は5回、細野氏は4回である。

●落選経験も考慮されなければならないが、当選6回という回数がメルクマールである。1993年の第40回衆院選から連続当選してきていると当選6回になるが、93年に初立候補したのは、前原氏、原口氏(落選)小沢氏、野田氏(96年落選)、荒井氏(96年落選)、玄葉氏、枝野氏である。山田氏は苦労人で79年から国政に挑戦しているが、初当選は93年だ。樽床氏は90年初立候補だが、93年初当選(05年落選)である。そして93年の前回選挙にあたる90年の第39回衆院選で初当選したのが、岡田氏と仙谷氏(93年落選)だ。

以下、続く。

*1:ウィキペディアによれば、菅氏の一族の中には、地方議会の議員を務めた者はいるようだ。

*2:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100609/plc1006090021007-n1.htm(10年6月10日)