メモリ増設で3日連続アキバ通い

(12日の二郎についてと、画像は、後日追加する――11年8月21日記す)

自分のパソコンに不具合が起きたとき、わたしはネットで解決方法を検索するなどして、独力で問題解決を図ろうとするタチである。例えば2008年10月19日付の投稿を見るとよい。どうしてわたしがその投稿をわざわざ書いたかというと、問題発生の原因とその解決方法を突きとめるのに結構苦労したので、その苦労をどうしてもカタチにしておきたかったのと、わたし同様にその問題で困っている人がいたならば、彼らにたいして幾許かの助けになればよいなと思ったからである。
今回の投稿も、パソコンの「手入れ」にかんする割と稀有であろうと思われるわたしの体験談である。過日わたしはノートPCのメモリ増設を行った。東芝dynabook AX/630LLである(諸元はコチラ)。

このPCは、郡山の実家で使われているもので、元々は旧友エス(Sと表記すると検索するときに面倒なので、エスとする)が所有していたものを、2006年から2007年前半頃に父がエスから45000円くらいで譲り受けたものである。その父も病気でパソコンの管理ができなくなり、末弟が思うがままに使うに任せていたが、05年8月発表の機種がデフォルト装備(メモリは256MB)のまま運用されていたので、日常の使用にも堪えなくなってきた。ニコニコ動画やユーチューブでの動画再生が困難なのは言うに及ばず、ブラウザでのブログへの書き込みや、ウェブメールの送信にすらも支障を来すようになっていたのである。

父が病気になってからわたしも郷里に帰省する機会が多くなった(いや、帰省は元々多かったか……)のだが、実家にネット環境がなくては、現代人として不便極まりなかった。それゆえわたしは、前回の帰省時に思い切って一緒に東京へと持ち帰ってきたのであった。

8月12日(金)、秋葉原ツクモ電機本店を訪れた。このとき元の所有者であるエスが同行していたのは、単なる偶然であった(たまたまわたしの許に遊びに来ていた)。かつてのユーザーに見守られながら生まれ変わるというのはどのような気分なのか、パソコンに口があったなら訊いてみたいものである。

パソコンのメモリ増設を試みるのは、今回が初めてではない。前出のメインマシンもまた、すでにメモリの増設が行われている。そのときは同じく秋葉原のBLESSにお世話になった。本当は今回も同店の厄介になろうと思ったのだが、いつの間にか廃業していた――神田明神通り沿いの店舗で営業していたときには行ったことがあり、そこから移転したことまでは知っていたのだが。

老舗PCパーツショップの秋葉原からの撤退や廃業は、BLESSに限った話ではない。ツクモ電機もまた08年に事実上倒産したものの、ヤマダ電機に救済されて現在に至る(詳細は割愛)。そうしたパーツショップの生き残りというのは、とりわけ秋葉原という都心の一等地では、大変らしいのだが、わたしには知ったこっちゃない話である。

このdynabookには、PC2700のメモリが対応する。そして空きスロット1、最大増設容量が1GBなので、同店に在庫のあったPC2700で1GBのメモリのうち、最も安かったシリコンパワー(Silicon Power)のSP001GBSDU333を2650円で購入した。もちろんバルクなので、ツクモ電機の相性保証を525円で一応つけておいた――これに後々助けられることになる。

このあとわたしは、未だラーメン二郎を食したことのないエスに二郎の洗礼を受けさせるために、彼と共に池袋へと向かった。

メモリをつけるとPCが起動しない

帰宅後、早速購入してきたメモリをパソコンに取り付けてみた――が、起動しない。がっかりした。まあ、所詮安物のバルクメモリだし、初期不良だとか相性が合わなかったということもあったであろう。相性補償をつけておいて、本当によかった。翌日(13日)、郡山に帰るために新幹線に乗るエス上野駅で見送ったあと、秋葉原ツクモ電機本店に再び赴いた。

前日わたしと応対した左利きの店員Nさんがこの日も店頭にいたので、かくかくしかじかの事情を説明した。前述の相性保証をつけていたので、上位モデルとの差額交換をすることができた。アーキサイトのAS-333DN-1G-S3はサムソン(Samsung)チップが使われている高品質のメモリだそうで、お値段も4380円とそれなりだ。相性保証によって、アーキサイトをシリコンパワーとの差額、つまり1730円で手に入れることができた。

「手に入れることができた」と言いつつ、正直、ありがたい出費ではない。とはいえシリコンパワーでは作動しない以上、差額を払って上位モデルと交換しないわけにはいかない。ううむ、これも勉強と納得することにした。それに高品質メモリが増設される以上、古いパソコンの格もほんの少しばかり上がるような気がして、それならば割高の出費もして損はないかもしれない……と自らを説得しておこう。

ところが、アーキサイトすら動作しなかった。

ツクモを出たあと、秋葉原駅前のやすべえでつけ麺を食し、帰宅してすぐわたしは増設作業に取りかかった。

症状はシリコンパワーをつけたときと同じである。増設分のメモリが搭載されているとウィンドウズが立ち上がって来ず、それを取り外すとまた従前と同様にBIOSが起動し、dynabookとウィンドウズのロゴが表示され、ウィンドウズが起動してくるのである。原因が全く不明なので、途方に暮れないわけにはいかなかった。

ツクモ店頭で、店員Nさんとの冗談で交わした会話が脳裏に甦り、耳の奥で残響する。

わたし「メモリをいいやつに取り替えても、また合わないなんてことがあるんですかね?」Nさん「ないとは言えませんけど……、何かありましたらまた持ってきてください」。

Nさんの言葉を当てにして、翌々日(14日)、またしても秋葉原ツクモ電機本店を訪ねた。但し今回は、問題のパソコンを持参した。

Nさんはこの日も店頭にいた――前日も前々日も、そして当日も、訪ねたのはいずれも午後7時を回っていた。前日同様、わたしはかくかくしかじかの事情を彼に説明したわけだが、さすがにちょっと気恥ずかしかった。メモリを変えても同じ症状が出ると聞いて、Nさんも困惑しているようで、別の店員氏とあれこれ相談していた。

Nさん「とりあえず在庫にあるアーキサイトのメモリと交換して試してみましょう。それでうまくいかなかったら、別の形での補償を検討させていただきます」。現物はココにあるので、その場で交換作業を行うことになった。ノートパソコンの裏側を開く。Nさん「あ、でもその前に、一応エアダスターを吹きつけておきましょうか」。エアダスターとは、形状はスプレー式の殺虫剤と同じだが、上部のボタンを押すと吹き出てくるのは二酸化炭素などのガスであり、それで基板上についたホコリなどを吹き飛ばすのである。

店からエアダスターを借りると、わたしは恐る恐る精密機械の表面へとガスを吹きつけた。わたしはこれを持っておらず、また使ったこともなかった。わたし「こ、こうですか?」Nさん「そうそう、ブシュブシュッと」。外装とフタに覆われていたパソコンの内部は特に汚れているようにも見えず、ガスを拭きつけたからといって、目立ってキレイになったとか、何かが変わったようには見えなかった。そののち、2つ目のアーキサイト・メモリを装着し、起動を試みた。

わたし「あ、点いた」。dynabookとウィンドウズのロゴが表示され、パソコンは正常に起動され始めた。

過去2回の起動できなかったメモリと、今回のメモリとで何が違ったのだろうか。エアダスターでゴミやホコリが飛んで端子の接触がよくなった可能性はありますよね。スーパーファミコンと同じですよ(笑)」とはもう一人の店員氏の弁。スーパーファミコン云々についてよくわからない、CD-ROMやDVD-ROM、それどころかAMDフラッシュメモリ世代のチビッコは、お父さんかお母さん、あるいは大きいお友達に聞いてみてね――って、その店員氏から見てわたしもスーファミ世代に見えたのだろうか(確かにその通りなんだけど)……哀しい。

わたし「これって、エアダスターのおかげですかね?」Nさん「うーん……、メモリの交換とエアダスターと、2つの作業を一度にやってしまったので、一概には何とも言えないですね。メモリの初期不良という可能性もなくはないです」。Nさんはこのように言ってくれはしたが、わたしはコネクターに微細なゴミかホコリかがついていたことによる接触不良のせいで不具合が起きていたと半ば確信している。パソコンのメンテナンスや増設の際には、エアダスターを使ったほうがいいという教訓を得るために、授業料としてメモリ代4380円と相性保証525円がかかったと考えるべきであろう。

それよりもお気の毒なのは、ツクモ電機である。わたしが3つ目のメモリをパソコンに装着して正常起動に辿り着くまでにシリコンパワー2650円と、アーキサイト4380円、計7030円が余計にかかっている。とはいえ、相性保証といい、店頭での交換作業といい、そういった手厚いサポートが、現在岐路に立たされているらしいPCパーツショップの活路となるのであろう。少なくともわたしは、今回のことでツクモに好感を持ったのは間違いないし、パーツの交換や増設の際はまたツクモに行ってみようと気にもなっている――もっとも彼らの側から見て、彼らが損して得を取れたのかどうかは、わたしの知る由ではないが。

そのあとわたしは、いくらか上機嫌で亀有に向かった。景気付けにラーメン○菅マルスガ)でラーメンを食べようと思ったからである。しかし、○菅は夏期休業で8月15日(月)まで休みだった(しかも翌16日は火曜日で定休日だ)。仕方がないので、○菅すぐそばの、以前から気になっていた北海道らーめん ひむろに入店した。食べたのは、味噌だれつけ麺の特盛(740g、800円)である。