Strings to the metal live! GAMMA RAY and RAGE live report: (2)GAMMA RAY

RAGEのショウが終わった時点で、舞台脇のデジタル時計は20時15分を示していた。「スペシャルゲスト」ではあるが、結局は前座であり、主役ではないので、75分という持ち時間は前座としては多いほうである。もっとも2日前の大阪公演の情報を事前に仕入れていたので、RAGEの持ち時間についてはわたしはすでに知りえており、それゆえ、20時半にGAMMA RAYの公演が始まらなかったとき、一抹の不安を覚えたのを記憶している。彼らのライヴが始まったのは20時40分頃だったと思うが、10分の遅れがあとあと効いてくるのである。

GAMMA RAY Live (Apr. 15th, '10. Thu.) at Shibuya O-East, Tokyo, Japan

  1. Welcome
  2. Gardens Of The Sinner
  3. New World Order
  4. Empathy
  5. Fight
  6. Mother Angel
  7. No Need To Cry
  8. The Saviour
  9. Abyss Of The Void
  10. Daniel's Drum Solo
  11. Armageddon
  12. Kai's Guitar Solo
  13. Armageddon (reprise)
  14. To The Metal
  15. Rebellion In Dreamland
  16. Man On A Mission
  17. Send Me A Sign (Encore)

最新曲からは4曲だけ

今回のセットリストは、2ちゃんねるGAMMA RAYスレッドでは、「渋い」と評価されていた。口が悪い書き込みになると「クソ」と書かれていた。わたしはと言えば、さすがに「クソ」とまでは思わないが、ツボを外した選曲だとは思う。ツボが外れているその最大の理由は、今回の選曲の中心になっている最新アルバムTo The Metalの出来が大してよくないからであろう。

実質の1曲目を#2(#1はSE)にするのは、恐らく02年のSkelton In The Closetツアーからの定番であり、ついでに言うと、実質の1〜2曲目として#2と#3を並べるのも、06年のMajesticツアーのときと同じである。新作をプロモーションするツアーの場合、新作からピックアップした曲を冒頭でぶちかますのがセオリー、ということもないのだろうが、JUDAS PRIESTの"Electric Eye"に相当する曲がGAMMA RAYの場合は#2か?という気はしている(いい曲だとは思っているのだが)。

それと、衣装の模様のせいなのか、それともライティングのせいなのか、カイ・ハンゼン[Vo. & G.]が何だか太った、それも中年太りのように見えたのである。ジャーマン・メタルの枠を越えて、今やヨーロピアン・メタルのメタルゴッドとおなりになったカイ様だが、175cmと小柄で(あくまでも、ドイツ人にしては、だが)しかもハゲなのに、下っ腹ぽっこりでは格好がつかないだろう(RAGEのピーヴィはデブでハゲだが、背がめちゃくちゃでかいので免罪されているフシがある)。ハンゼンは、名字こそ北欧系でハンブルク出身(ドイツ北部、オランダに近い)なので、北欧由来の家系なのかと思わされるが、体格に関して言えばスカンディナビア人やオランダ人ほど大きくはない。

最新作から初めて選曲されたのが、#4である。カイが「新しいアルバムからの曲だ。みんな新しいアルバムを知っているか? To The …?」と尋ねるので、わたしたちは「Metal!」と応じた。ちなみにわたしは、最新作をあまり聴き込まずにライヴに行ってしまったので、最新作の曲はほとんど合唱できなかった。もっとも、この曲がノリやすい曲かと言えば、そうではない。ここでミドルテンポの曲を持ってきたのは、次の曲がタテノリのファストナンバーだからであろう。ついでに言えば、大阪公演ではこのあと最新アルバムから"Deadlands"を演奏したという。この曲は"All you need to know"と並んで最新作の中で最もマシな曲であると思う。それを聴けなかったのは、正直痛恨の極みである。

#5は05年のMajesticからの選曲である。ちなみにこのアルバムも評判はあまりよくない。但しこの曲自体は、05年のツアー以来セットリストの定番曲として定着している。さて、GAMMA RAYには作詞で多用される英単語(フレーズ)がいくつかあるのだが、その1つが"carry on"である。この曲はサビでまさしく"carry on"を連呼し、メインヴォーカルとコーラスが"carry on"の掛け合いをするので、ファンとしては「来たぞ来たぞ」と言わんばかりに合唱できるのである。

#6も最新作からの選曲である。恐らくこの曲は、長年このバンドを聴き続けてきた人であればあるほど、「らしくない」と思う曲である。作曲者カイ・ハンゼン節とは程遠い、ストレートなロックナンバーであるが、ギターソロも単調で、この曲をこのバンドのファンが求めているかどうかを考えると、疑わしい。

#7は、今回のライヴで最もどうでもいい曲であった。その理由は、この曲は部分的にディルク・シュレヒター[B.]が弾き語りをする部分があるのだが、正直こちとらこのベーシストの唄なんか聞きに来ちゃいないのである。この人はバンドの古参メンバーだが、作曲面では最も貢献度の薄い人である。ディルクが一部分でもヴォーカルをとるのは、恐らく93年Insanity And Genius収録の"Your Turn Is Over"以来だと思うが、17年ぶりのレアな曲を生を聞けて儲けたぐらいに思っておくことにしようか。

美しい曲は歌詞も美しい

#8が#9に繋がるイントロなので、この2つは実質1曲である。この曲がライヴのスタメン入りをするのは、結構久しぶりではないだろうか。バンドで一番の名盤と見なされているLand Of The Freeからの選曲である。冒頭のダークな雰囲気から徐々に盛り上げていくこの曲をわたしは嫌いではない。何よりもサビの歌詞がよい。

"All men come / to see the king of the world / The time has come for everyone / The saviour stands for all of us / Now praise the one who'll destroy / The evil abyss of the void"(「全ての人はやって来る/世界の王を見るために/皆のために時は来たれり/救世主は私たち全員のために立っている/さあ今こそ称えよその人を/邪悪な虚無の深遠を破壊するその人を」拙訳)

このサビを合唱しているとき、本当に泣きそうになった。本当は救世主などいないのだ。わたしは底なき虚無の深遠を無限に落ち続けている。世の瑣事を擲ってひと時の忘却に酔い痴れることが、仮初めの救いにしかならんことは道理と理解しているのに。LOUD PARK 06でANGRAの"Nova Era"を合唱しているときも泣きそうになったが(このとき書いた「私自身も不幸続き」は、ほとんど間断置かずに、むしろ悪化して、現在進行形であるが)、メロディが美しい曲は歌詞も美しいというのが、わたしの持論である。

#10のドラムソロは、予め録音されていたモーツァルトの「トルコ行進曲」と
オッフェンバックの「天国と地獄」に合わせて、ダニエル・ツィマーマン[Ds.]がドラムを叩き鳴らすというものである。彼らが、日本では「天国と地獄」が小学校の運動会で子どもたちを徒競走に駆り立てるために使われていることは、恐らく知らないと思うが、そういうわけでわたしたちもこの曲を聞いて何となく興奮してきたのである。そのあと舞台袖に消えていたほかのメンバーたちが現れて、ディルクがこのドラマーを紹介した。

#11, 12, 13も#12のギターソロが間に挟み込まれて入るが、実質は1曲である。このバンドがこういうギターソロをやるのも珍しい。というのも通常ライヴでギターソロをやるのは他のメンバーを、とりわけヴォーカリストを休ませるためだが、このギターソロをやったのは、他ならぬヴォーカリストのカイだからである。思うに、最新アルバムを聴いた印象も踏まえて言うが、(少なくとも今の)彼はスポンテニアス(自発的)でインプロヴァザトリアル(即興的)なライヴをやっていた70年代のバンド、ロックとメタルが未分化だった時代の、若かりし彼自身が親しんでいたバンドを志向しているのではあるまいか。このギターソロでも、妙に明るいポップ調のロックフレーズも演奏していた。"Armageddon"にリプライズする直前のフレーズは、何だかDEEP PURPLELive In Japanに収録されている"Lazy"のギターソロで、リッチー・ブラックモアがちょっとだけ弾いたアルヴェーンの「スウェーデン狂想曲第1番」をカイも弾き出すのではないかとすら思ったほどだった。

そのあとカイが舞台袖に一度消えて、#14のイントロとともに戻ってきたとき、キャップと大き目の黒いサングラスを身につけて戻ってきた。「METALGATE」さんはじめ、この曲はどう聞いてもJUDAS PRIESTの"Metal Gods"のパクリオマージュだと指摘していた*1が、なるほど、やはり彼ら自身はそれを自覚的にやっていたのか。だからカイもロブ・ハルフォード*2(写真中央)みたいな帽子とサングラスを着けてみたわけだ。

GAMMA RAYURIAH HEEPの"Look At Yourself"や"Return To Fantasy"などを始めとして、99年のアルバムPowerplantまではカヴァー曲も発表している。勿論JUDAS PRIESTからも"Victim Of Changes"をカヴァーしている。しかし01年のNo World Order以来、カヴァー曲をやらなくなるのと同時に、「どこかで聴いたことがあるような」曲を作曲するようになってきた。だがそれは、なるほど、近年の彼らはカヴァーするだけに飽き足らず、かつてのメタルクラシックのパクリオマージュを新曲に盛り込むようになっていったことを示しているのだろう。

わたし自身は、オマージュだろうとパクリだろうと、曲自体の出来がよければ、異論はない。オマージュをやるにしても、作曲家自身に何かしらのコンセプトがあって過去の佳曲を援用するのであれば、それもいいだろう。そもそもメタルの業界では、そういうことは結構あるし、パクったほうがネタ元にインスパイアされたことなどを明言しなくても、パクられたほうがクレームをつけるということは、メタル界においては、全く稀である。"Evil Spell"をBULLET FOR MY VALENTINEにパクられたPRIMAL FEAR大人の対応*3が、その典型である。

#14に関して言えば、オマージュの度合が相当露骨で、勿論バンド自身もファンにたいして「オマエたちもわかっているんだろ?」という含みを持ってやっている(ということが、カイの格好からわかった)ので、それにもかかわらずもはや四の五の言うのは、メタラーとして慎むべき態度であろう。もっとも、サビの"Hail to the metal"の箇所は、イヤミを込めて"Metal gods"と唄ってやろうかとも思ったが(苦笑)。

#15の唄い出しの直前に、カイが「みんなで唄ってくれ」と言うと、わたしも含めてオーディエンスは"Voices are calling..."と恙無く歌詞が出てくる。その理由は言うまでもなく、取りも直さずこの曲も先に述べた名盤のLand Of The Free収録曲だからであろう。この曲はミドルテンポの曲ということもあって、ほぼ全編にわたって大合唱だった――少なくともわたしは全部唄っていた。

Land Of The Freeでも、#15と16は連続する曲(アルバム1曲目と2曲目)なのだが、今日のライヴでもこの2曲は立て続けに演奏された。「俺たちは"Men on a fuckin' mission"だ!」カイが叫ぶと、#16に突入した。ギターソロ後の"Before you kill us all"と続いた後の3度目"What we need right now..."というサビのところでは、バンドは不意に演奏を止めて、観客だけのアカペラになった。その様子にカイは謝意を述べていた。この曲も、特に日本のファンは、全編歌詞を覚えている人が多いはずである。このあとバンドが"What we need right now..."から演奏に戻ったとき、ヴォーカルはミドルテンポのバラード調になったが、これは#16の別ヴァージョンとも言うべき、#16と歌詞とメロディが一部同じ"Miracle"(ミニアルバムSilent Miracles収録)を踏まえているように思われる。

アンコールではどの曲を?

このあとステージは暗転し、バンドは一度消えるのだが、そこはライヴのお約束、アンコールがあるのが常である。観客が拍手とかけ声を止めずに待っていると、照明が復活し、舞台向かって左の袖からメンバーが戻ってきた。2ちゃんねるのスレッドによれば、このときディルクが日本語で「ヨンダ?」と叫んだらしいが、わたしの記憶は曖昧で、よく覚えていない。

ともあれ、わたしはまだ"I Want Out"を聴いていない。カイ・ハンゼンがHELLOWEEN時代に作曲した曲なので、GAMMA RAYの代表曲ではないが、しかし間違いなくカイの代表曲であるこの曲を。公式にリリースされたGAMMA RAYのライヴアルバムは4枚(94年The Power Of Metal、96年Alive '95、03年Skeltons In The Closet、08年Hell Year!!! The Awesome Foursome)あるが、Alive '95以外の全てで"I Want Out"を演奏している(ラルフ・シーパース[Vo.]時代のThe Power Of Metalでは、部分的だが、ラルフの唄う"I Want Out"が聴ける)。わたしが参戦した過去全てのライヴでも必ず最後に"I Want Out"をやっている。彼らがライヴで"I Want Out"をやらないはずがないのだ。I Want "I Want Out!"

そう思っていたら、雷鳴と強風吹き荒ぶSEが鳴り渡り、ヘンニョ・リヒター[G.]が#17の哀愁漂うイントロを弾き出した。ヘンニョによって書かれたこの曲は、どうやら05年のMajesticツアーあたりからライヴの締め括りに演奏されるようになったらしい。サビの"Send me a sign"(俺に啓示を送ってくれ)も大合唱である。大体このライヴも、RAGEから数えて3時間の終盤である。オーディエンスは誰しもがピークに達したテンションと疲れ切った肉体との狭間でおかしくなっている。わたしも啓示がほしい。正直お先真っ暗だ。Sigh no more...

そしてわたしは期待していた、そうかそうか、なるほど"I Want Out"は最後なのだ、と。ワクワク。

しかしメンバーは楽器を置き、全員で肩を組んで挨拶をし、ピックやドラムスティックなどを観客にばら撒くと、舞台袖に帰ってしまった。

え? "I Want Out"は?

かつてSkeltons In The Closetをリリースするとき、そのブックレットにおいてカイ・ハンゼンはこう言った。

ライヴではほとんどやったことのない曲や一度もやったことのない曲でツアーするというアイディアは、次の3つの理由から徐々に思いついたことなんだ。一番目の理由として、毎回ショウが終わると、「なぜこの曲はやってくれなかったんだ」とか、「なぜあの曲はやってくれなかったんだ」なんて、一般には“ガンマレイの代表曲”とは思われていなくて、僕達がプレイするなんて全く考えたこともなかった曲をやって欲しいと言ってきてくれたファンがいたこと。〔強調は引用者〕

ライヴのセットリストに関して観客には四の五の言う権利はない。しかしながら、ライヴであまりやったことのない曲を中心に選曲を考えたSkeltons In The Closetツアーでさえも、"I Want Out"はやったではないか。それどころか、2日前の大阪公演でも、翌日の東京公演2日目でも、翌々日の名古屋公演でも、"I Want Out"をやったではないか。なぜ、よりによって、おれの行った東京公演初日だけやらなかったのか。

わたしはライヴにあっては、ドイツの批評家ヴァルター・ベンヤミンよろしく、バンドの生演奏の一回性を享受することに主眼を置いており、バンドのアウラを崇拝するためにライヴに行っている。それゆえ、正直セットリストはどうでもいいっちゃあ、どうでもいいのだが、それでもやはり、今回のセットリストは、正直微妙だった、と言わざるを得ない。

取り分け、新譜から選び出された曲が微妙だった。上でも少し述べたが、"Empathy"、"Mother Angel"、"No Need To Cry"じゃなくて、"All You Need To Know"、"Time To Live"、"Deadlands"だろう。勿論、限られた会場の使用時間の中で、前座が05年のときのような格下・子分格のSTORMWARRIORではなくても、ほとんど同じくらいのキャリアを持ったRAGEを「スペシャルゲスト」として据えた以上、彼らにある程度の演奏時間を配分すれば、自ずからメインキャストに割り振られる演奏時間は短くなる。むしろ8000円でGAMMA RAYとRAGEを同時に観られるというのは僥倖であり、それ自体は歓迎に値する事態である。

それにしても、それにしても、なのだ。"I Want Out"を聴けなかったことが恨み骨髄となって、今回ばかりはセットリストにも口を出さざるを得ない。バンドが去った後、照明が明るくなり、公演終了を告げるアナウンスを聞いたときの口惜しさったらあったもんじゃない。しょうがないからわたしはすごすごとI went outしたんだけれども。

GAMMA RAYとRAGEを比べて

今回はRAGEとGAMMA RAYのショウを連続して観たので、両バンドを比較してみると、GAMMA RAYはRAGEに比べてドラマー以外のプレイヤーがステージ上をよく動いていた。それには勿論、前座であるRAGEが演奏するとき、ステージ上には隠されてはいたがGAMMA RAYの機材がすでに用意されており、ステージを広く使うことができなかったという事情もあるだろう(もっとも、彼らは単独公演でもそんなに動き回る人たちではないが)。それに引き替えGAMMA RAY、なかんずくカイは、体をくねらせるリズムのとりかたはいつものことだが、投げキッスまでやってみせるに至っては、セクシーというよりも、気持ち悪かった(苦笑)。2ちゃんねるGAMMA RAYスレッドでは「RAGEはカッコいいオッサンだが、GAMMA RAYはカワイイオッサンだな」というコメントが書き込まれていたが、良く言えば、その通りである。カイ・ハンゼンは、後輩バンドのプロデュースや客演をよく行うことなどから、「ジャーマンメタル界のゴッドファーザー」と呼ばれることがあるが、それにしてはあまり威厳はない。カイもこの業界では相当のヴェテランだが、上がつかえている――ドイツ産の大先輩バンドSCORPIONSが過日ようやく解散の意向を表明した――こともあって、まだまだ若手の風情である。

GAMMA RAYとRAGEは、双方ともドイツ産で同じくらいのヴェテランバンドであるが、思えば、人的な交流を聞いたことが一度もない(同じくらいのヴェテランだから、とも言えそうであるが)。RAGEのドラマーだったマイク・テラーナが、GAMMA RAYのライヴでサポートメンバーとして出演したことがある(時期は不明)くらいだろう。他方で2つのバンドはレコード会社(Noise Records)が同じだった時期が長く、先述の2枚組ライヴアルバムThe Power Of Metalも、GAMMA RAYがディスク1の大半を、RAGEがディスク2の大半を分け合って、リリースされている。ついでに言えば、せっかくRAGEを「スペシャルゲスト」として招いたのだから、ショウの最後に共演して何かしらのアトラクションを、例えば双方とも影響を受けているJUDAS PRIESTやACCEPTのカヴァーなんかをやってほしかった。

ライヴのあとはラーメンが旨い

さて、トイレで汗だくになったTシャツを着替えたあと、しぶしぶ会場をI went outしたわたしは、晩飯の心配をしなければならなかった。わたしの行動パターンからして、ラーメンを選んだことはもはや説明の必要もないであろうが、問題はどこで食すか、である。

翌日登校する予定のあったわたしは、友人と立川の「二郎」か、国分寺の「紅葉」で夕食にラーメンを食うことが予想された(というか、もはや決定事項だった)ので、ここは細麺のとんこつラーメンに抑えておくことにした。

O-Eastから渋谷駅方面に道玄坂を下って行く途中にある「博多風龍」にわたしは入った。デフォルトのとんこつラーメンは500円で2回まで替え玉を無料で注文することができ、非常に経済的である。しかしわたしの前に運ばれてきたラーメンを見るにつけ、何かが足りないような気がして、それを凝視していると、店員が「(注文したのは)とんこつラーメンですよね?」と訊くものだから、わたしは「(持ってきたのは)とんこつラーメンですよね?」と訊き返してしまった。そうしたら案の定、添え物ののりを盛り付け忘れており、「すみませんでした」とのりを別皿に5枚ほど寄越してくれた。やっぱりのりがなかったのか。向こうのミスとはいえ、こういうサーヴィスにわたしは弱い。

わたしがラーメンを啜っていると、あとから3人組の男たちが入ってきた。バンドTシャツやレザージャケットを着ていたことなどから、明らかにわたしと同じライヴ帰りであることが見てとれた。多分向こうはわたしもメタラーだとは思わなかっただろうが。隣に座っていた女子大生と思しき2人組は、食事が終わったあとも恋愛談議に花を咲かせていた。セックスやラヴロマンスのような下衆な話は、よそでやってもらいたい。神聖なラーメン屋には不釣合いである。こういうバカ女どもは本当にI wanna "see you going down"だし、"Murderer"されたらいいと思う。それがAll right!だろう。

ラーメンにおろしにんにくを入れすぎたわたしは、なんだか胃がムカムカしてしまい、近くのコンビニでお茶を買い、それをグビグビのみながら銀座線に乗り込んだ。時刻はすでに午後11時を過ぎていた。

*1:10年4月21日確認。

*2:10年4月21日確認

*3:10年4月23日確認。