年末の風物詩:M-1グランプリ2009

nikkansports.com『M1決勝進出 ナイツら8組決定』

漫才日本一を決める「M1グランプリ2009」決勝戦に出場する8組が7日、東京・テレビ朝日で発表され、各コンビが出席して登場順を決める抽選会が行われた。今年の予選参加は過去最多の4629組。この中から決勝戦に出場するのは、登場順に、ナイツ(昨年決勝3位)南海キャンディーズ(04年決勝2位)東京ダイナマイト(04年決勝8位)ハリセンボン(07年決勝4位)笑い飯(03、05年決勝2位)ハライチ(昨年準決勝)モンスターエンジン(昨年決勝7位)パンクブーブー(03、04、06〜08年準決勝)。

勝戦テレビ朝日系で20日午後6時30分から生放送。今年は敗者復活戦も午後4時から生放送され、勝ち上がった1組が決勝戦に参戦する。

※( )内は過去出場時の最高位。[2009年12月7日14時25分]*1

年内最後のJRA日本中央競馬会)主催の競馬G1レースは有馬記念(今年は12月26日)だが、お笑いファンのわたしにとっての重賞レースはM-1グランプリである。今年もそろそろだなと思っていた矢先、早速決勝進出の7組が決定し、発表された。

以下はわたしの下馬評である。もちろんわたしの趣味が大いに反映されているので、悪しからず。

大会史上最もハイレヴェルだった(とわたしは確信している)昨年3位のナイツが優勝候補の最右翼であることは間違いがない――前回大会に関して言えば、決勝進出の3組(NON STYLE、オードリー、ナイツ)はいずれも大会後の1年間でテレビで見るようになったので、もうM-1に出る必要はないと思っていたのだが。

南海キャンディーズは、山ちゃんが最近非常に面白くなってきているのに期待大。しかし、それに対して、近年女優としての活躍がめざましいしずちゃんは、芸人としての仕事に興味と情熱を失ってはいるのではという点で不安。以前とは逆に、山ちゃんに対してしずちゃんが面白くなくなってきていると思う。

8年連続で決勝進出の笑い飯には「笑い飯枠」が用意されているのかもしれない(もはや、あながち冗談ではないかも)。どちらかといえば関東の笑いのほうが好きなわたしにとっては、彼らのような関西の笑いには抵抗があるが、それでも昨年の「闘牛」ネタに至ってようやく彼らの笑いがわかってきたし、決勝戦最多進出ということもあるので、期待したい。

ハライチ、パンクブーブーは「爆笑レッドカーペット」や「エンタの神様」などのいわゆるネタ番組に注目している人じゃないと、見たことはないかもしれない。

ハライチが初めて出演したテレビ番組は、恐らく「ぐるナイ」の1コーナー「おもしろ荘」だと思うが、これはオードリーと同様である。その意味で彼らは今大会のダークホースになる可能性がある。岩井は以前ネタ中に横を向いて笑う癖(?)があったが、それを最近改善している点は評価したい。但し、いつもの「ノリボケ漫才」だけで4分間持つかどうかは疑問である。

パンクブーブーはこの8組の中では最も苦労人であろう――09年6月時点での月給は45000円前後だったり、黒瀬は今年に入ってバイトを週3から週4に増やしたりしている(いずれも「爆笑レッドカーペット」での情報)。確かに面白いのだが、地味である。また「レッドカーペット」ではツッコミ黒瀬が「もう、バカバカ!」と地団駄を踏んでネタを締めることが多いが、この締め方では尻切れトンボではないか。だが逆に言えば、1分間程度では彼らは十分に力を発揮できていないのかもしれない。その意味では、4分間で戦えるかどうかが問題である。

あとの3組は、特に言うべきことはない。ハリセンボンは、すでにテレビで多くの出演番組を抱えているのだから、今更この登竜門に挑むことはないではないか。それに彼女たちは、タレントや喜劇役者としては面白いが、漫才師としては面白くない。女性コンビは、その容姿(の、とりわけ美醜)をイジりあって笑いをとることが多い(アジアンなどもそうだ)が、それは最初は面白くても、長くやられると、視聴者は確実にすぐに飽きる。いつまでも「角野卓三」と「ミイラ」「死神」のワンパターンで笑いがとれると思うな。しかし彼女たちからこのワンパターンを除いたら、一体何が残るのか。

モンスターエンジンは、漫才だけではなく、コントやピン芸もこなせる器用なコンビらしい。だが器用貧乏に堕してはいないか。ついでに言えば、去年のM-1のネタと今年の「キングオブコント」のネタを比べて観る限り、彼らはどちらかというとコントのほうが得意なように思われる。だがだからといって、今年の「キングオブコント」を観ても、コントもそれほど面白いわけではない。結局総合的に実力不足である。今年のM-1で化けて出てきたら、それはそれで面白いが、あまり期待はしていない。

東京ダイナマイトは、いまいちよくわからない。面白いという人もいるので、観る者を選ぶ笑いなのかもしれない……が、それではM-1は獲れない。

さて、残る1枠は敗者復活枠で、決勝戦に先立つ午後4時から復活戦が行われ、決勝進出コンビが決定される。この枠は過去、麒麟アンタッチャブル、サンドウイッチマン、オードリーを送り出した実績があり、ここから出てきたコンビが本戦を面白くすることもある*2。わたしとしては、昨年決勝進出者のNON-STYLEやU字工事はもとより、ギャロップジャルジャルハマカーンあたりに出てきてほしい。