Tokyo Flaneur: (2)Into the Center of the Capital

毎週土曜日の「労働」のあとは、東京散策が習慣になりつつある。焼け石に水かもしれないが、運動不足の解消という、趣味と実益を兼ねた営為である。

六本木一丁目から、先週は赤坂見附・四谷方面へ歩いたので、今週は反対方向の国会議事堂、霞ヶ関、有楽町方面へ歩いてみることにした。

外堀通りとの交差点である溜池交差点を越えて、六本木通りを北東へ上る。この交差点を外堀通りへと曲がって西に進むと、先週行った赤坂見附である。国会議事堂周辺は高台になっており、溜池交差点から六本木通りはその裾野を沿うように走っている。この辺りは完全に官公庁街になっているのかと思いきや、一般の一軒家を発見、思わず撮影してしまった。

千代田区永田町一丁目である。広尾や松涛など目ではない、こういうところを東京の超高級一等地と言うのだろう。固定資産税とかメチャ高かろうなどと、余計な心配をしてしまった。この家は周囲の猫の額ほどの空き地に取り囲まれていたが、そのいずれもが日本国の管理地だった。つまり、日本国はこの家の立ち退きを待っており、その跡地に政府関連の建物でもこしらえようという腹積もりなのだろう。日本国の企みに抗するように立(建)ち続けるこの家は、何とも勇ましい。

財務省上交差点を北上し、国会前庭の和式庭園の脇を抜けると、国会議事堂の正門である。この正面から見て議事堂の裏手には両院の議員会館があるが、そのいずれもが立て替え建設中である。わたしの撮影した画像にも、紅白の作業用クレーンが写りこんでいる。また、山王パークタワープルデンシャルタワーといった高層建築に取り囲まれている。あたかも、首都(キャピタル)の象徴と資本(キャピタル)との力関係を暗示しているかのようだ。

議事堂の正門から桜田門方面へ高台の坂を下る。内堀通りとの交差点(国会前交差点、ここで先ほどの六本木通りの起点でもある)へ来ると、皇居を取り囲むお堀が見えてくる。そのお堀、桜田濠の対岸は警視庁である――法的に後ろめたいことをした記憶はないが、警察の前を歩くのは何となく気後れするのはなぜだろう。そんなわけで、わたしはお堀側の歩道を歩いた。

ここは「皇居ランナー」と呼ばれる市民ランナーたちのメッカである。皇居の周りほど夜中でも警備が厳重な屋外地もないであろう。皇居外周1周辺りの距離も、ランナーたちには丁度いいらしい。外国人の走者も多く見受けられた。但し困ったことに、ランナーたちの周回方法は、時計回りか半時計回りか、全く決まってはいない。めいめい好きな周りかたをしている。それゆえ、わたしがのっそり歩いているとき、前方から全速力のランナー、後方からも全速力ランナーが走ってくると、わたしは右にも左にも避けられない。実際わたしはこのような場面で後ろから来たランナーに肩を掠められた。かなり危なかった。桜田門の前には交番があるのだから、警官は立ちんぼしていないで、交通整理をしてもらいたいものだ。

祝田橋交差点で祝田通りを横断すると、内堀通りの先にはペニンシュラホテルがそびえ立っていた。お堀の向こうには帝国劇場が見えてくる。やがて日比谷通りとの交差点(日比谷交差点)となり、有楽町はすぐそこである。


ザ・ペニンシュラ東京(上)と帝国劇場(下)

ここでわたしは逡巡した。このまま歩いて秋葉原まで行っちゃおうかしら。と思ったところで、ペニンシュラの前に掲げられた標識に気がついた。「東京駅 1000m」。有楽町から秋葉原までは東京、神田を間に挟んで3駅ある。そのすぐ1駅先までで1キロもあると知った時点で、秋葉原までの踏破の野望はすぐさま捨てさった。

時刻は午後6時を指していた。今回も結局1時間程歩いており、わたしは疲れていたのだ。わたしは有楽町から電車に飛び乗り、早売りのジャンプを買うために秋葉原へと向かった。

ちなみにちず丸距離計測(仮)*1によると、わたしの歩いた距離は今回も大体3.5キロになったようだ。ちなみにわたしは今までに北千住−浅草間、浅草−上野−秋葉原間を歩いたことがある。一度北千住−六本木間(線路長+αで約13.7キロ!)の踏破を試してみたいと思っている。

*1:ちず丸の計測データは、60日間アクセスがないと、自動的に削除されるので注意。