Rainbow Bridge can't be blockaded.

落雷とゲリラ豪雨の危機に怯えながら、レインボーブリッジを徒歩で渡ってきた。

私と友人Kは田町駅に16時ちょうどに待ち合わせた。しかし15時30分になって私が明らかに遅刻しそうだったので、待ち合わせ時刻は16時30分に変更。と思いきや、Kはそれからさらに20分遅れてやってきた。結局17時頃に田町駅を出発した。

レインボーブリッジは、平たく言えば、二層構造になっている。上層は高速道路、下層にはゆりかもめ線の専用軌道と一般道、そして歩道が通っている。この歩道「レインボープロムナード」は無料で通行することができる。

橋脚から地上51メートル、ビル7階に相当する歩道に上るとき、都心のほうを見た。徐々に暗雲が立ち込めてきているように見えた。

この歩道は入り口で、都心の景色が満喫できる北側か、台場周辺の風景を楽しめる南側の歩道を選ばなければならない。我々は北側を選んで行った。

なかなか絶景である。東京都庁の展望台もそうだが、このようなアトラクションがタダで楽しめる東京は、結構遊び甲斐がある。しかし、当日は日曜の夕方だったが、ひと気はまばらだった。

但し、我々が歩く脇をゆりかもめや自動車やオートバイが(しかも結構なスピードで)走っており、会話はしにくい。しかも前述の通り我々が歩いているのはレインボーブリッジの下層なので、ちょうどトンネルの中にいるように音がやや反響しがちである。

レインボーブリッジを渡り終えると、右手に台場公園(第三台場)が見えてくる。言うまでもないことだが、フジテレビの所在地として有名になった「台場」という地名は、元々は江戸時代に作られた、国防を目的とされた砲台が置かれていたからである。当地には砲台の遺構がまだ残されている。

我々が台場公園についたのは18時頃。辺りは夕闇に包まれつつあり、フジテレビ他の商業施設も煌びやかなネオンを点灯させていた。湾内を漂う屋形船からは酔客の唄うカラオケ「宇宙戦艦ヤマト」まで聞こえてきた。

公園では、ビニールシートを広げていた家族連れや、ペットを散歩させる老夫婦などが見られた。意味もなくいちゃつくバカップルには吐き気がした。

屋形船の匂いに誘われたのか、どこかで海鳥が鳴いていた。遠くで稲光が光った気がした。どこかで雷鳴が轟いた気がした。私は夜の帳が降りきった台場の浜辺を眺めながら、自動販売機で購入したアイス菓子を食べた。

私がこの日に台場に行きたかったのは、毎年夏に開催されていたフジテレビのイヴェント「お台場冒険王」が今年度の最終日を迎え、またイヴェント自体も今年度を持って終了だったからである。……まあだからといって、料金を払ってまで見たかったわけではないが、ゴールがなにもないよりはマシだと思って、何となくそこを目的地と心の中で決めたわけである。

フジテレビ社屋前に辿り着いたとき、私は本当に「桜吹雪の〜♪ サライの空わぁ〜♪」と唄った。もちろんこの日は、日本テレビ24時間テレビ31」の放送日である。私はエド・はるみに先立つこと約2時間前に踏破を果たし、「サライ」を唄っていたのであった。

特に臨海副都心地域で目的もなかった我々は、都心に戻ることにした。バス停「フジテレビ前」から虹01系統の都営バスに乗り込んだ。バス停でしばしバスを待っている間に雨が降り出したが、ほどなくしてバスはやってきた。

バスに乗り込み、座席を確保した私は「いや〜、おれの日頃の行いがいいから、歩いている間に雨が降らなかったんだな」と安堵した。そうしたらKが「本当に日頃の行いがよかったら、雨なんか降り出さないだろ」と水を注した。

バスは、レインボーブリッジをあっという間に通り抜け、浜松町駅まで我々を運んだ。つまり我々は、往路とほとんど同じ道程をバスで帰ってきたわけである。