JR東日本中央線――非“中央線なヒト”の改善案

最近、所用でよく中央線を利用する。

東京に住んで4年になるが、先日初めて国立に行った。しかも平日の朝早くにであった。国立は中央快速線の“各停”しか停車せず、そもそも中央快速線は朝ラッシュ帯は“各停”しか走らないので、致し方なくゆっくり行った。

中央快速線埼京線東急田園都市線と並んで、首都圏の最混雑路線である。新宿を過ぎて、中野を過ぎればさすがに空いてくるだろうと思っていたが、甘かった。窓から見える反対方向の東京行き列車は、確かに恐ろしい混み様であった。しかし私の乗った高尾行きも、各駅で乗客は漸増して減ることがない。西国分寺で多少減った。多分武蔵野線に流れていったのだろう。

国立からの家路、夕方5時半過ぎに東京行きの電車に乗った。やはり混んでいた。なぜ帰宅時間帯に都心方面へと向かう人がこんなにいるのか。私が普段乗っている常磐緩行線・千代田線は、朝の我孫子方面、昼間以降の代々木上原行きは“空気輸送”、つまりかなり空いている。

けれども中央緩行線、いわゆる「中央・総武線」は結構空いている。私がよく利用するのは地下鉄東西線から直通する中央緩行線なのである。緩行線が空いていて、快速線が混んでいる理由は何か。簡単である。快速線のほうが便利だからである――と言っても、基本的には不便な中央線にあっては、だが。

中央快速線には種別が3つあり、立川までの停車駅が少ない順に、「特快」(特別快速の略だが、それをもって正式名称)「通勤快速」(朝夕のみ)、「快速」となる。一番停車駅の多い「快速」は、中野以西で各駅に停まる。つまり中野以西では、中央緩行線と停車駅が変わらないのである。それでも快速線列車は御茶ノ水−中野間では四ツ谷、新宿にしか停まらないため、便利なのである。

私には、快速線を中野−三鷹間の5駅、すなわち高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪西荻窪、吉祥寺に止める理由がわからない。快速線は中野−三鷹間において全列車停車なしにして、先に挙げた5駅の利用者は緩行線に乗ってもらえば分乗が促進されよう。そして緩行線から四ツ谷、東京方面に急ぐ人は、中野で乗り換えてもらえばよい――のだが、同一ホームで乗り換えられないどころか、中野駅の構造は地下鉄東西線ホームを挟む形で、北に中央快速線ホームが、南に中央緩行線ホームがあり、一度コンコースへ下らねばならずとても不便である。中野駅のコンコースはいつも乗換客で雑然としている。

都心で三大最混雑路線の二つを抱えているにもかかわらず、大した対策もとらない――せいぜい焼け石に水程度の新車を投入するだけ――とは、JR東日本も鷹揚なものである。あるいは、鉄道省そして国鉄以来の役人感覚を引きずっているのか。中央快速線における毎日のようなダイヤの乱れも、鉄道会社として恥ずかしいとは思わないのか。田園都市線の混雑緩和のために、目黒線の大改良工事を行っている東急を見習ってもらいたい。

更に言うと、これは川島令三が提案している*1ことだが、地下鉄丸ノ内線荻窪から快速運転を行ってもらいたい。それにより西新宿の副都心や、東京、大手町への所要時間が短縮されることによって、中央線の混雑が更に緩和されるだろう。

都会の鉄道とは、各路線は各社が運営しているものであるが、全体は密に関係しあって一つのシステムをなしている。「他社の会社線の混雑だからウチは知らない」などとは言っていられないわけだ。特に東京メトロは、在来線の混雑緩和のために地下鉄を敷設してきた営団を前身に持つ。ここはJRと東京都が頭を下げてお願いするしかなさそうだが、そのときメトロもまたそれを拒否することは信義にもとるだろう。


余談だが、高円寺−秋葉原間において、全区間中央緩行線で行く場合と、同区間のうち中野−御茶ノ水間だけを快速線で行く場合、おおよそ5分程度しか違わない。

ある土曜日私は高円寺から秋葉原まで行く用事があった。中央線利用者には言うまでもないが、土日ダイヤでは中央快速線は高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪に停車しない。上で述べたルートのどちらが早いか迷い、疑わしくはあったが、快速線を間に挟むルートを採用した。その結果、私が高円寺で最初に乗った緩行線列車が、私が秋葉原に到着した際に乗っていた緩行線電車のすぐ後に秋葉原に到着した。

それは、緩行線列車に比して快速線列車の停車時間が長いためであろう。特に新宿は乗降客が多いため、時間がかかる。

たかが5分、されど5分、である。(特に中野で面倒な)乗換をしてでも5分早く着きたいと思うかどうか。私は、ちんたら緩行線で座っていけばよかったと激しく後悔した。

*1:『全国鉄道事情大研究―東京都心部篇−』草思社、2000年 ISBN:4794209673