大学は「自由」の砦たるべきと思うのですが

asahi.com中核派全学連委員長ら29人逮捕 法大内の看板撤去妨害』2006年03月14日19時16分

法政大学の敷地内にあった立て看板を撤去するのを妨害するなどしたとして警視庁公安部と麹町署は14日、中核派全学連委員長織田陽介容疑者(24)ら全学連活動家を含む男女29人を威力業務妨害などの疑いで現行犯逮捕した。全員黙秘しているという。

調べでは、織田容疑者らは14日、東京都千代田区の法大市ケ谷キャンパスの中庭で、立て看板を撤去しようとした大学職員の作業を妨害した疑い。大学側が110番通報したという。

立て看板は、大学側による看板の撤去などに反対する内容で、14日を期限に内規に基づいて立て看板を撤去すると大学側が通告していた*1

別に私は全学連全日本学生自治会総連合の略称)のシンパでも、中核派のシンパでもない。寧ろ彼らには否定的な立場をとっている。それでも、私は彼らに言論の自由を認めなければならない。さもなければ、私が「私は中核派全学連に反対する」という権利もなくなってしまうからである。

大学は第二次世界大戦前夜において「瀧川事件」「美濃部事件」に代表されるような事件で政府の言論弾圧に加担し、大日本帝国ファシズムを結果として支持し、戦争に繋がった経緯を持つことから、言論の自由に関しては最もシヴィアな感覚を持つべきである。私は、一般企業から広告を募って発行している新聞社に、完全なジャーナリズムがあるとは思っていない。だからこそ(せめて)大学は(それだけでも)自治・独立を保つべきだと考えるのだが、最近の潮流ではそれもままなっていない。国立大学の独立行政法人化に見られるように、大学はどんどん政府と企業の従僕と成り下がる様を私たちは目撃しているのである。

この新聞記事によると、警視庁の公安部というところは、市民が110番すると、他の所轄署員と共に飛んでやってくるらしい。ウィキペディアによると「公安部は基本的に所轄に出先機関を一切設けず、所轄捜査員と合同で捜査することはない*2そうだが。つまり大学当局と公安部が通じ合っていて、中核派全学連の学生をハメたというのが適切な見方だろう。ここに、お上に尻尾振りをしている、法政大学の堕落が浮き彫りになる。

下に示す関連記事を見てもらってもわかるが、日本の大学にはほとほと呆れた。嫌気がさしている。私はドイツ旅行中にベルリン・フンボルト大学と、ボン大学ハイデルベルク大学を見てきた(忍び込んできた)が、恐らく「自由な大学」とは、ああいった大学を指すのだと思う。制服を着込んだ警備員の姿なんかどこにもない。日本の学問の将来を憂えずにはいられない。

asahi.com早大でビラまき逮捕 建造物侵入容疑で』2005年12月29日08時53分

早稲田大のキャンパスでビラをまいていたアルバイトの男性(22)が建造物侵入の疑いで逮捕、勾留(こうりゅう)されていたことがわかった。東京地裁で28日、勾留理由開示の法廷が開かれ、坂田正史裁判官は「証拠を隠滅する可能性がある」などと勾留の理由を述べた。

警視庁の調べなどによると、男性は20日昼、東京都新宿区の文学部がある戸山キャンパスで、学生会館移転問題に絡むビラをまいた。学校側がキャンパスの外に出るように求めたが従わなかったため身柄確保(私人による逮捕)をし、警察に通報して引き渡した。調べに対し、男性は黙秘しているという。

男性の弁護人は「大学当局による政治的な弾圧だ。罪証隠滅のおそれも逃亡のおそれもない」と即時釈放を求めた。

早大などによると、今回のビラは、01年に学生会館が移転する際、繰り返し反対運動をしていた大学OBら3人を構内への立ち入り禁止とした処分の撤回などを求める内容だった。大学側は今月に入り、再三にわたり注意をしていたという。早大広報室は「学生証の提示を求めたが応じなかった。不審者として通報した」としている*3