東京で震度5

地震が発生したとき、私は大学の先生の研究室*1で自主勉強会の最中でした。大学教員の研究室は四方が本棚で占められており、長く大きな揺れで本が数冊落ちました。もっと地震が大きかったら本棚の最上段に並んでいた「ニーチェ全集」が私を直撃して、今頃私は病院かあの世にいたでしょう。

地震自体にさほど恐怖は感じなかったのですが、私のいた建物が結構老朽化しており、建物倒壊や前述の通り本の直撃の危機は脳裏を一瞬過ぎりました。エレベーターは動かず、研究室は8階にあったので、帰りは階段でえっちらおっちら降りるハメになりました。先生の隣の研究室で仕事をしていた独文学者のH教授が、地震にも動じず仕事をしていたのがとても印象的でした……が、私が廊下で知人から電話で「山手線が止まっている」との連絡を受けていると、「山手線止まってるの?」と慌てていたのも印象的でした。

asahi.com『新幹線など一時ストップ 首都圏の地震で交通乱れる』2005年07月24日00時01分*2

 交通機関では、東海道新幹線が一時運行を見合わせ、上下35本が最大30分以上遅れ、約2万8000人に影響が出た。東北、上越、長野などの新幹線も一時ストップした。首都圏のJR山手線、京浜東北線や、地下鉄東京メトロも全線で一時運転を見合わせた。特に、東京と千葉方面を結ぶJRの総武線は4時間、高架橋が多く確認作業に手間取った京葉線は7時間ほどそれぞれ運転を停止。その上、東京から千葉方面につながる私鉄の京成線も3時間半近くストップしたため、千葉方面の乗客に大きな影響が出た。JR東日本によると、首都圏の30線区で約1200本が運休し、約44万人に影響が出た。

地震が起こって直ちに私はケイタイで鉄道運行情報を確認しました。最近のJRはよく電車が止まります。そして私が普段利用している地下鉄東西線と千代田線はJR線と相互直通運転をしています。つまり、東西線も千代田線もよくダイアが狂ったり、運転を見合わせたりするのです。

補足として引用記事を文末に示しますが、7月11日に東京メトロ千代田線とJR常磐線各駅停車が終電を前にして止まりました。その日の私はやはり自主勉強会のあと先生や友人たちと飲みに行き、大学の最寄駅(山手線)を出たのが24時でした。私もこの「運休」に巻き込まれ、25時前には帰着予定のところを、北千住からタクシー利用で28時(午前3時!)の家路となってしまいました。*3

つまり、私は2週間前の悪夢を警戒していた訳です。なお23日は、携帯電話各社ではサーヴィスが一時的に停止していたようです。確かに電話もメールもインターネットも繋がりにくかったのです。それでも何とかインターネットにして鉄道運行情報を確認すると、東京メトロは全線止まっていました。*4翌日の読売新聞によると、都営地下鉄では地震発生から数分後には徐行で運転再開していたとありますから、普段は評判の悪い(運賃が高い、ホームが深い、など)都営ではありますが、かつて公営であった東京メトロ元帝都高速度交通営団)も、ゆくゆくはJRのような体たらくになってしまうのではないかと心配されます。

さて、私たちは勉強会のあと、全4回行われた会の締めとして、サークルの納会と併せて飲みに行きました。勉強会のあとすぐ帰ると言っていた参加者もいたのですが、電車が動かないのでは結局帰れないということで、彼らも交えてとなりました。

東京新聞『千代田線 緊急停止、1500人誘導』*5

十一日午後十一時五十五分ごろ、東京都足立区足立の東京メトロ千代田線の北千住−綾瀬間で、代々木上原発綾瀬行き電車(十両編成)の非常ブレーキがかかり、緊急停止した。同社は乗客約千五百人を綾瀬駅まで誘導したが、途中で気分が悪いと訴える乗客もいたという。同社によると、六、七両目の連結部分からブレーキなどに使うエアが漏れたことが原因とみられる。

    ◇

千代田線町屋駅でストップした後続電車から降りた男性によると、同駅には千人以上が滞留、タクシーを待つ長い列ができた。東京メトロ側はタクシー代を後日精算する措置を取ったというが、帰宅の足を奪われた乗客から「危機管理ができていない」と不満の声が続出したという。

MSN-mainichi東京メトロ:千代田線で故障、乗客千人1キロ歩かされる』*6

11日午後11時55分ごろ、東京都足立区足立の東京メトロ千代田線北千住−綾瀬駅間の地上部分の線路上で、代々木上原発綾瀬行き普通電車(10両編成)の非常ブレーキがかかり、電車が動かなくなった。現場は、地下から地上に出て間もなくの場所で、乗客約1000人は40分ほど車内に閉じこめられた。その後、メトロ係員の誘導で、約1キロ離れた綾瀬駅まで線路脇の通路を歩いた。

同線は上下線とも北千住−綾瀬駅間で運転を見合わせ、立ち往生した電車は12日午前6時過ぎに車庫にけん引し、同6時16分に運転を再開した。この間、乗客にはタクシー券を配布するなどして対応、約1万3000人に影響した。運転再開後も朝の通勤・通学ラッシュ時間帯のダイヤが乱れ、各駅のホームは列車に乗りきれない通勤客であふれ、混乱が続いた。

東京メトロによると、事故車両は電源が落ちたため、車内はクーラーが切れて非常用照明だけの状態が続いた。女性4人が「気分が悪い」と訴え、救急隊が高架部分からはしご車を使って救助に当たった。6、7両目の連結部分にあるブレーキ装置のゴムホースが外れてエアが抜けたため、非常ブレーキが作動し、解除できなくなったらしい。

帰宅途中だった千葉県松戸市の会社員、平井明さん(44)は4両目に乗っていた。車内は真っ暗になり、「何があったんだ」「どうしたんだ」という声が上がったという。電車が止まってから約30分間、停車した理由の説明がなく、平井さんは「ロンドンの地下鉄テロが脳裏をよぎった。メトロはもっと早く状況を説明してほしかった」とぐったりした表情で話した。【工藤哲、曽田拓】

*1:身内にウケがいいように記しておくと、16号館でした。

*2:http://www.asahi.com/national/update/0723/TKY200507230309.htmlより引用(09年2月12日現在、確認不可)。

*3:余談ですが、東京で一人でタクシーに乗ったのは初めて、全部で2度目でした。タクシー代は東京メトロに請求して返ってきました。

*4:因みに当日の銀座線は、別の事故により渋谷〜銀座間で一時的に運休していました。

*5:http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050712/mng_____sya_____015.shtmlより引用(09年2月12日現在、確認不可)。

*6:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050712k0000e040003000c.htmlより引用(09年2月12日現在、確認不可)。