第132回芥川賞・直木賞決まる

MSN-mainichi『芥川・直木賞芥川賞阿部和重直木賞角田光代の両氏』*1

第132回芥川・直木賞日本文学振興会主催)の選考委員会が13日、東京・築地の「新喜楽」で開かれ、芥川賞阿部和重さん(36)の「グランド・フィナーレ」(群像12月号)、直木賞角田光代(かくたみつよ)さん(37)の「対岸の彼女」(文芸春秋)に決まった。贈呈式は2月18日午後6時から、東京・丸の内の東京会館で開かれ、正賞の時計と副賞100万円がそれぞれ贈られる。

 ◇「取りたい気持ちは強かった」 阿部さん

芥川賞の阿部さんは東京都目黒区自由が丘のイタリアレストランで記者会見。4回目の候補での受賞だが、「今回も同じことが続くのではと思っていました。取りたい気持ちは、その分強かったかもしれません」と喜びを語った。

阿部さんは山形県東根市生まれ。県立高校中退後、東京の日本映画学校卒。94年に「アメリカの夜」で群像新人文学賞を受賞してデビュー。生理的な感覚をあらわにした文体、反転や不意打ちを多用した自在な筋展開、暴力や性への欲望を見据えたテーマ設定で、90年代後半以降の文学シーンを代表する一人だった。

しかし、99年に「無情の世界」で野間文芸新人賞を受賞した以外は賞に恵まれず、“無冠の帝王”と呼ばれることもあった。ところが、5年をかけて執筆した約1600枚の長編「シンセミア」が好評で、昨年の毎日出版文化賞伊藤整文学賞を受賞。両村上(龍さんと春樹さん)以降を担う書き手の地位を築いた。

受賞作は、妻と離婚し一人娘に執着する無職の男が主人公。ロリコン癖のある彼が故郷に帰り、小学生2人に演劇の指導をする姿を通して、現代人の複雑な内面を描き出している。主人公の故郷は「シンセミア」などにも描かれた東根市の「神町(じんまち)」。他にもこの土地が舞台になった作品があり、壮大な“神町サーガ”が構想されている。

阿部さんは「“神町”を舞台にしたフィクションを書いてきましたが、今後もそれにつながるものを書いていきたい」と語った。

直木賞の角田さんは横浜市生まれ。早稲田大第一文学部卒。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。96年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、98年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、03年「空中庭園」で婦人公論文芸賞など。東京都杉並区在住。

角田作品は、専業主婦で子持ちの小夜子が、独身の葵の経営する会社で働き始めることから物語が始まる。夫との関係や過去の傷などそれぞれの問題を抱える30代の2人を通して、現代を生きる女性の姿をさらりとした筆致で描いた。

 ◇「作家として芯が太くなった」 選考委員の宮本輝さん

芥川賞選考委員の宮本輝さんは、阿部作品について「現実の事件(奈良の女児殺害)とは関係なく、小説としてきちんと世界を作り上げている。これまでの作品に比べ、作家として芯(しん)が太くなったと感じる」と評価した。

選考では最終的に、選考委員のうち6人が阿部作品を推し、4人が白岩作品を支持。宮本さんは白岩作品について「僕は軽快に読んだ。21歳でなかなかこれだけの作品は書けない。もう1作読みたい」と語った。

直木賞選考委員の渡辺淳一さんは角田作品について「身近な現代の女性の問題点を的確に描いた。ずるさや優しさ、友情など女性だけの感性を日常のリアリティーのなかで巧みに作品化している」と評価した。

 ◇白岩玄さん残念

野ブタ。をプロデュース」(文芸冬号)で芥川賞にノミネートされ、男性最年少の受賞が期待された白岩玄さん(21)は残念ながら落選。東京都内の河出書房新社の会議室で担当編集者と一緒に待機していたが、携帯電話で受賞できなかったという連絡が入った。だが格別落ち込む様子もなく、編集者の「これからまた頑張っていきましょう」という声に、「大変お世話になりました。これからもよろしくお願いします」と答えた。

取り急ぎ速報まで。続きは『受験生応援コラム』最終回の校了後になるだろう。

実に妥当な選考だと思う、昨年とは違って。
よくわからないが、年度後期の両賞は、そこそこ有名で話題になりそうな人にあげるらしい、昨年がいい例だ。

*1:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050114k0000m040098000c.htmlより引用(09年2月12日現在、確認不可)。