(大学受験生を応援②)偏差値神話をぶち壊す!

前回の受験生応援コラムはこちら!


まず、お詫びがあります。初回に「掲載は毎週土曜日0〜4時(金曜日24〜27時)」と申し上げておきながら、第2回で早々に約束を破ってしまいました。申し訳ありません。実は、東京の拙宅が未だインターネット接続環境に不備があるのです(第1回は実家から掲載しました)。今後も最大1ヶ月程度この状態が続くかもしれませんが、どうぞご容赦願います。日曜日には確実に掲載されているように心がけいたします。


閑話休題


よく「志望大学に受かるか自信がない」という言葉を受験生が言うのを耳にします。誰あろう私も受験生であった頃は例外なくそんなことを言っていた覚えがあります。しかし入学してしまった今となっては、全く杞憂というか、人間万事塞翁が馬というか、とにかく余計な心配だったとは思っています。結果としては、私はどうにかこうにか、或いは何故だか理由はわからないけれども、とにかく大学には入学してしまっています。


では大学受験生が往々にして口にする「受かる自信がない」というその言葉の根拠は何でしょう。まあ、逆に言ってしまえば「俺ぜってー受かる」というこの鼻高々なこの言葉の根拠を考えてみても構いません。それは恐らく(でも十中八苦間違いなく)私の嫌悪する偏差値という悪しきシステム*1の魔力に違いありません。即ち、模試を受けて「●●大学はC判定だったけど、第一志望の■■大学はDだった……(ToT)」などという、受験産業が生み出した都合のいい数字の影響です。


今さら大学受験生諸氏に、私から偏差値の仕組みを説明する必要はないでしょう。もしかすると私より現役の受験生の方が詳しいかもしれませんからね。ならばその悪しきシステムを熟知しているならば、その偏差値という数字に惑わされる道理がないことに気付くでしょう。いくら模試での偏差値が高かろうと(たとえ100などという驚愕の数値を叩き出したとしても!)、それが大学入試を顔パスする印籠には絶対ならないということです。あなたが持っているその数字は、受験産業が判定した数字でしかありえません。いかに模試でA判定を取っていたとしても、それは「もしかすると、80%の可能性で合格するかもしれないというifの世界です。模試だけにもしの話なんです(サムくて失礼! 笑)。


東京大学の受験生の中にはこんなジンクスがあるそうです。「東大プレ模試で全国1位を取った受験生は入試で不合格になる」。東大生ではない私にはその真偽の程はわかりません(でも某マンガでは本当に落ちていたような……)。しかしもしかすると、模試でいい成績をとって自惚れそうな自分たちを自戒するために自然発生した訓戒なのかもしれません。そう考えると、さすがとも言うべき、東大受験生の聡明さが伺えてきます。「所詮は模試なのだ」と彼らは言うわけです。


私の身近で現実にあった話を1つ披露いたしましょう。早稲田大学第一文学部に在籍する友人は、受験生の時に早大政経プレ模試で全国17位を取ったそうです。全受験生の中で上から17番目というと、これは受かりそうなものですが、本番では早大政経学部は不合格だったそうです。それで併願して合格した一文学部に入学したそうです。ならば東大プレのジンクスも、あながちジンクスと切って捨ててはいられないかもしれません。


ここで断言してしまいましょう。模試でいい成績を取っていようが、悪い成績を取っていようが、合格者が合格者で、不合格者が不合格者です。東大プレで1位を取った経験があろうとも、不合格で浪人生になろうが、、よその聞いたこともないような大学に落ちて浪人生になろうが、この両者に立場や位の違いはありません。等しく浪人生です。強いて言えば、偏差値の違いくらいしかありません。


私は受験生時代、私立大学しか受験していませんので、その時の経験から申し上げるのですが、私立大学受験にはよく「過去問を解け」と言われます。それで高校の同期で、早稲田大学法学部に合格した友人に訊くと、やはり「20年分くらい解いた」と答えました。彼は他大にも合格しているので、計100年分くらいは解いた模様です。私立大専願受験者はセンター試験を受験しなければ、その対策時間も本試験対策に回せます。彼は12月に入ってから本試験までの約2ヶ月間で重点的に過去問対策を行っていたようです(但し彼はセンター試験も受験しています)。


まあ、この友人の能力に関しては、私などとは違って3年間を通して成績優秀者の部類に入っていましたから、私は彼を特別視しており、あまり参考にはしていません。だとしても彼すら十分すぎるほどの過去問対策は行っており、関連書籍にも同様の体験談が掲載されています。よって最低20年分の過去問対策は合格の最低必要条件だと言って過言ではないでしょう。過去問の入手方法については赤本などでは大体各大学5〜10年分の過去問が収録されています。それ以前に関しては、自分の高校や予備校などを頼るか、或いは東京の神田神保町などには受験学参専門の古本屋がありますので、店に電話をかけて取り寄せるか、東京にいる知人に頼んで入手するのもよいでしょう。既に東京に進学した先輩(私もだ!)というのは、こういう時に有効利用するものなんですよ。自分が合格するためだったら、誰をも利用してやるという気概です。もしこの時イヤな顔をした先輩がいたら、そんな後輩思いのない、薄情な先輩とは付き合いをやめてしまっても構いません。


勿論、過去問対策というのはセンター試験や国立大学二次試験においても同様です。国立大学受験者は対策すべき事項が多くて大変でしょうが、過去問対策も疎かにしないで頂きたい。過去問対策とは、各大学の作成する入試問題の傾向を捉え、出題形式に慣れるという目的が大部分を占めます。難関校と呼ばれる大学になればなるほど、入試問題も特色あるものになっているようです。大学によって出題される分野とされない分野が存在することを見つけるのも重要です。早稲田・慶応の両大学で出題される歴史の奇問・珍問・難問は、しばしば批判されています。また2003年の早稲田大学教育学部の入試では、国語のある問題に正解がなく、受験者全員を正解にするという措置が取られたそうです(余談ですが、同学部には04年度から入試国語研究家の石原千秋氏が教授に就任したので、こういった悪問はなくなるかもしれませんね)。こういった奇問・珍問・難問にぶつかった時、それを解答するのではなく、いつまでも悩まずに勇気ある撤退をして他の易問を数多く解答するなどというストラテジー(戦略)を身につけることが、過去問対策の最大の目的です。


私のある友人は、全統模試などの総合模試でB判定を取っていた私立大学に落ちました。彼は過去問対策を一切やっていませんでした。1年分でもいいから過去問対策をやるのとやらないのとでは大違いだということがこの時私にもよくわかりました。と同時に、いかに偏差値と模試が当てにならないかもよくわかりました。


逆に別の友人は、センター試験で580/800点で、東北大学法学部に合格しています。彼は「(東北大法学部受験者内における)センター試験の順位から、二次試験で200人抜いた!」と嬉しそうに語っていました(尤も彼も、580点はかなり不本意だったようですが)。センター試験すら、各予備校のセンターリサーチで志望校の合格判定を出されるわけですから、センター試験すら模試だと見なすならば、本試験で、最後の最後でひっくり返す底力を養う必要性が見えてきます。


だからこそ私は、偏差値に惑わされて志望校を変えることは、まだしてほしくありません。センター試験までですら、あと112日もあります。時間的に余裕があるとは言えないまでも、綿密な対策から逆転を狙うには十分な時間です。寧ろこのくらい切羽詰っていた方が、勉強嫌いの方々には丁度いいくらいでしょう(私もだ!)。今回例示した私の合格した友人たちは、元々すごいから受かったのではなく、受かったからすごくなったと考えるべきです。受からなければ、ただの不合格者になり下がっていたでしょう。今すぐ偏差値至上主義信仰を捨て、自分の頭で合格のストラテジーを考えましょう。考えないことには、始まりません。


さて、次回の予告ですが、今回偏差値と模試を徹底的に貶めてしまいましたが、次回はそれらの有効活用法をお話ししたいと思います。……矛盾なんてしていませんよ、多分(笑)。物事というのは、多角的に見てしかるべきなのです。


To be continued to 20041004......

*1:キーワードのせいで中途半端な文字修飾になっていますが、『偏差値という悪しきシステム』が太赤字になる筈でした。