どう評価するか

WEB埼玉『2005年11月11日(金)運転室に長男入れ運行 東武野田線、運転士解雇へ』*1

春日部市東武野田線南桜井駅で今月一日、普通電車の運転室に、三十歳代の男性運転士の長男(3つ)が入り込み、次の駅の川間駅まで運行していたことが、十日までに分かった。東武鉄道は規則違反として、運転士を懲戒解雇する方針。

東武鉄道によると、運転士は一日午前、大宮駅発柏駅行き下り普通電車(六両編成)を運転、先頭車両には運転士の妻と長男ら子ども二人が乗車していた。途中の南桜井駅に停車中、長男が運転室と客室を仕切る扉をたたき騒いだため、注意しようと扉を開けたところ長男が入り込んだ。出発時刻になったため運転士はそのまま運行し、次の川間駅で扉を開けて長男を妻に戻したという。

先頭車両に乗車していた乗客が春日部駅で駅員に知らせ発覚。運転士は「電車を遅らせてはいけないと思った」と話し、長男に運転装置は触らせなかったという。

WEB埼玉『2005年11月12日(土) わが子入れた運転士解雇…同情の声殺到 東武鉄道、方針は変えず』*2

東武野田線で三歳の長男を運転室に入れたまま電車を運行したとして、三十代の運転士を懲戒解雇するとした東武鉄道の方針に対し「処分が重すぎる」「子供が傷つく」とする意見が、十一日までに同社に殺到している。

同社は「安全運転を使命とする鉄道事業者としてあってはならない。入念な社内調査に基づいた処分」として方針は変えないという。

 同社によると、解雇方針の報道があった十日には電話、メールで計四百八十四件の意見が届いた。賛否両論あるが「自分のせいで父親が解雇されたと知ったら子供が傷つく」など、運転士に同情する意見が圧倒的に多いという。

同社によると、運転士は一日、春日部市南桜井駅に停車中、母親、妹と一緒に乗っていた長男が父親を見て運転室のドアをたたくなどした。なだめようとドアを開けると、長男は運転室に入り泣いて座り込み、そのまま一駅間運行した。

鉄道評論家の川島令三さんは「運転室には絶対に人を入れてはいけないが、確かに処分は重いと思う」と話している。【共同】

東武鉄道は今年3月に伊勢崎線竹ノ塚駅付近の踏切で4人の死傷事故を起こしましたが、この事故に加えてJR西日本福知山線における大事故も、今回の重罰を下した同社に影響を与えているでしょう。

川島令三同様に、私もこの処分は重すぎると思います。フジテレビの情報バラエティ番組「スタ☆メン」の出演者たちは「この重罰があって、これからの大事故が防げるかもしれない」(大意)というようなことを言っていますが、起きていない大事故を夢想するのは思弁が過ぎるというものです。

「同社の懲戒処分は、〈1〉解雇〈2〉職級降下〈3〉停職〈4〉減給〈5〉けん責――の5段階。どんな行為がどの処分にあたるか明確な基準はなく、寝坊で運行が遅れたら減給やけん責など、その都度、判断している」*3という。鉄道会社は乗客の命を預かっているが、同時に社員の生活も預かっています。この処分では、事故の防止に繋がる社員のモラル向上には繋がらないでしょう。ある意味では「日勤教育」より無意味なものかもしれません。

*1:http://www.saitama-np.co.jp/news11/11/32x.htmより引用(09年2月12日現在、確認不可)。

*2:http://www.saitama-np.co.jp/news11/12/14x.htm(09年2月12日現在、確認不可)。

*3:http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20051111i501.htmより一部引用(09年2月12日現在、確認不可)。