「就職決定おめで㌧」なのだが……

大学の先輩にK氏なる人物がいる。彼は大学を卒業したものの、結局1年間就職できずじまいで、自らが主宰するウェブサイトでは「就職できない鬱田氏脳」と散々漏らしていた。しかし本人の話によると、この程就職の内定を得た模様で、4月から勤務開始だという。

だが彼のウェブサイトを見ても、一向に「就職ケテーイ!」の喜びに溢れた文字は記されない。彼は金融系の職種に就くらしいのだが、ウェブサイトには「ひょんなきっかけで外国為替に興味を持った」くらいのことしか書かれていない。

ここで、彼をよく知る共通の知人の言葉が甦る。「就職できなくて、インターネット上で『就職できない』とボヤいているのが『K君』なんじゃないか? だから彼が就職してしまったら、どうなるんだろう?」

無論K氏がこの言葉を知る由はない。ということは、K氏は無意識ながら自覚していたということになる。少なくとも、ウェブサイトを運営するにあたっての「ネタ」が失われることには気付いているようだ。

まあ、あれだけ就職したかったK氏である。インターネット上で報告するか否かは彼に任せるとしても、私はこの場を借りて、祝辞を述べたいと思う。おめで㌧