余所様の「熱愛」

1月27日(火)発売の『週刊朝日』の表紙に安田美沙子のピンナップが踊っていて、ぞっとした*1。つい先日若手俳優との恋愛が発覚したばかりの女が、早速週刊誌の表紙を飾っている。

安田と城田優20日(火)にそれぞれ自らのブログで恋愛関係を認め*2、安田は更に25日(日)のテレビの生放送中に満面の笑みで熱愛を生告白した*3。写真撮影や印刷のスケジュールを考慮すれば、このタイミングで安田が同誌の表紙に採用されたのは偶然としか思えない。しかし、彼らの恋愛がマスメディアに流布されるところとなったのは、この20日が最初ではないらしい。彼らの「熱愛」発覚は彼ら自身の自発的な白状によるものではなく、そもそもは『中日スポーツ』の1月13日(火)号にスクープされたことがきっかけだったようだ*4

もし20日のブログでの告白で初めて彼らの恋愛が大衆に知られたのであれば、27日に出版される雑誌の表紙に採用されたのは、偶然の可能性が大きいように思われる。しかし、その発覚が13日であるならば、『週刊朝日』の編集者は、その報道を受けてから安田を表紙のピンナップに採用したと考えても、無理はなかろう――いずれもわたしの憶測に過ぎず、実際のところはわからない。

しかしながら、もし本当に、現在若手俳優と「熱愛」中ということで安田が雑誌の表紙に採用されたのだとしたら、わたしとしては呆れるほかはない。

どうやら日本の芸能界においては、とりわけ女性のタレントやモデルや俳優は、いま注目されている男性若手芸能人と恋愛すると、各方面から注目を集めることができるそうだ。スポーツ新聞やワイドショーがそうした恋愛ゴシップを追いかけるのも、それを読者や視聴者に見せれば、売上げや視聴率が見込めるからであろう。スポーツ新聞やワイドショーでしか観られない女性芸能人も少なからず存在するような気がする――もちろん皮肉だが。

こうした日本人の、余所様の「熱愛」見たさとは、一体何なのだろうか。わたしはかつてドラマ『ハチクロ』が失敗したことを受けて(異性愛)ラヴロマンスをテーマとしたドラマはもはや人気を獲得できないと指摘した*5が、ところが実際の、現実のラヴロマンスは大いに世人の耳目を集めることができるのである。ついでに言えば、女子大生や女子高生が書いた(とされる)ラヴロマンスの「ケイタイ小説」がある程度受容されているのも、その小説には作者のリアルな体験が現れていると読者が前提してしまっているからではなかろうか。たとえその小説が、傍から見れば荒唐無稽な「コンデンス・ライフ」しか描かれていないとしても。


日本人における余所様の恋愛見たさについては、現在わたしはまとまった論考を準備中である。それは恐らくこのブログではなく、何らかの形で出版することになるであろう。