「フリーライターデビュー」の後日談

2005年2月7日の日記でも記したのだが、私はとある非営利団体からの依頼を受けて「リライト」の仕事をした。できあがった原稿は締切の今月15日(火)に先方へとメールで送った。

しかしその前の12日(土)に、あろうことか私は風邪をこじらせてしまっていたのであった。原稿を書き上げたとき、私の体調は、熱こそ出していなかったものの、体はだるいわ、喉は痛いわ、頭痛はするわ、鼻水は出るわで、酷いことになっていた。おまけに所属する新聞サークルの締切と重なって、本当に死にそうだった。常備薬を毎食後に服用しながら、ごまかしごまかし作業していた。

なぜ12日に風邪をひいたかと、当日を振り返ってみると、この日は私の大学の入学試験が始まった日であった。しかし私は大学図書館に本を返す用事があったので、登校していた。大学に到着したのは大体午後4時頃であったが、その時刻は、初日の学部の入試が終了する時刻であった。つまり私は受験生の帰宅帯にぶつかったわけである。

私は大学入試に関してよい思い出が1つもないことは、いつか語った通りである。大学の正門から流れ出てくる受験生の辛気臭い顔を見ていると、当時の私が思い出されてしまって仕方がない。私は正直嫌な気分になった。私の悲惨な大学入試体験は入学後の体験と相まって、今となってはトラウマでしかない。私は発狂しそうになった。

このことが私の免疫力を下げたことは間違いない、と断言したい。受験生がいなくなったあと、私は図書館とコンピュータ室を訪れている。即ち人がたくさんいる場所に行っているのである。多分このいずれかで風邪をうつされたのだろう。しかし入試終了時刻にぶつからなければ、私が風邪をひくこともなかったと、敢えて断言したい。

さて、こんな調子で書いた原稿であったが、私としては先方の反応が気になるところであった。正直、私自身は原稿のテーマである「地球温暖化」という話題に興味がないわけではなかったが、さりとて細かい専門用語など仔細に至るまで知りたいわけでもなかったのである。そもそも興味のないことは一切記憶に留めない私であり、それで大学入試にも大層苦戦させられたのである(嗚呼、また発狂しそうだ……)。体調の悪さもあって原稿にも苦戦しながら取り組んだので、正直出来がよいとは思えなかった。というよりは、全くの専門外の内容であって、出来不出来が私には判断できなかった。「どうにかやってやったぞ!」という実感程度のものである。

しかし、先方の担当Y氏から16日(水)に送られてきたメールの内容はこのようなものであった。

いやー、いまざっと読んだけど、もうカンペキ!
すばらしいできばえで感動しています。
まったくこちらのイメージ通りに仕事をしていただき、これなら「てにおは」と
事実関係の整理程度で、大幅加筆修正なくやれそうです。

人間やればなんとかなるものである。そしてここまで手放しで評価されたので、かなり気分もよくなるものである*1「俺ってフリーライターにもなれるんじゃねェか?」とカンチガイさせて頂いたのであった。

そして続くメール本文は、こうである。

君って酒飲める?何たって原稿料が安いから、お礼に一杯おごるよ。
風邪が治ったら連絡下さい。

どうやら私は、先方にいたく気に入られてしまったようである。それはそれで全く光栄な話だが、このときの私はとにかく風邪をひいていて、すぐにお付き合いできる体調ではなかった。このメールには返信せずにおいてしまったのである。

そうしたら今日(21日月曜日)、14時30分にY氏から電話がかかってきたのである。「君、今日時間ある? 飲みに行かないか?」。この電話がかかってくるまで寝ていた私は、これで叩き起こされたのである。この話は、次回に続く。

*1:但しゲラ刷りを確認したところ、大幅に加筆修正されていた……。